ポリアモリー(polyamory)のカナダ人と付き合ってみた話 PART1

couple in nature blue sky

ポリアモリー(Polyamory)という言葉を聞いたことはありますか?

poly = 複数の

という部分が示すように、複数の正式なパートナーがいる恋愛関係をもつことです。

今回は、彼氏候補として紹介された人がポリアモリスト(ポリアモリーをしている人)だったことでポリアモリーについて知るきっかけがあった私の体験談を交えながら、このポリアモリーとはなんなのか紹介します!

ポリアモリーって?

そもそも、ポリアモリーとはどういう言葉なんでしょう。ゲイとかバイのような、個人の性的指向の話なのか?それとも「一夫多妻制」のようなどちらかというと、パートナー関係を体系として捉えた呼び方なのか?

結構混乱する方もいるのではないでしょうか。私もはじめのころは、知れば知れほど分からなくなっていきました。

ポリアモリーはLGBTQ+に含まれる?

ポリアモリーについて初めて調べた時にまず知ったことは、ポリアモリーはLGBTQ+に含まれる概念だということです。

LGBTQという言葉は日本でも浸透してきましたが、この言葉には性自認*と性指向**の分類が混ざっています。

*性自認 ジェンダーアイデンティティ(自分が認識している性)

**性的指向 セクシュアルオリエンテーション (好きになる性)

https://jobrainbow.jp/magazine/whatispoliamory

LGBTQのそれぞれの意味

  • L lesbian 女性の同性愛者
  • G Gay 男性の同性愛者 *レズビアンのことをゲイと呼ぶことも多い
  • B Bisexual 両性愛者
  • T Transgender 自分が思う自分の性が生まれ持ったものと違う人
  • Q Questioning, Queer 自分の性やその分類自体に疑問をもっている人、その分類にあてはまらない人

最近ではLGBTQ+として、上記より多くの分類が名前を持つようになり、その他として「+」の中に含まれるようになりました。

そして、この「+」が含む色々な性自認(ジェンダーアイデンティティ)や性指向(セクシュアルオリエンテーション)の中に、ポリアモリーも含まれるということでした。

そういった意味で考えると、生き方であると同時に、その人にとってしっくりくる愛の表現や選択の体系の一つとしてポリアモリーは位置づけられているような気がします。

また、私が「排他的な恋愛関係」や「一夫一妻制」を無意識に「普通」だと思ってなにも疑問を持たずに育ち、大人になってからポリアモリーを知って、複数のパートナーを持つという恋愛様式を選ぶこともできる一方で、どこかでずっと違和感を感じて生きてきた人たちがいて、そんな人たちにとってはポリアモリーは選ぶ・選ばないというものではなく、自らの生き方や愛のカタチそのものであるということもあるということがわかりました。

だからこそ、既存の「男女」や「排他的異性愛」という分類から超越した価値観を表すLGBTQ+という言葉に含まれるのが妥当なんだと理解しました。

ポリアモリー体験談

ポリアモリーの哲学が分かったところで、次は実際の恋愛がどんな感じなのか気になりませんか?

ここからはポリアモリーをしている男性を友達から紹介され、実体験として知っていった筆者の経験を、そのまま物語調にお届けします!

ポリアモリーとの出会い

「あ、一応伝えておいた方がいいかなって思うんだけど、彼はポリアモリーだよ。」

と、友人の結婚式で久しぶりにカナダのバンクーバーに行ったとき、男友達を紹介してくれるという友達に、サラッと言われました。

???
「ポリアモリーってなにー?」
と、無知だった私が聞くと、彼女は急に口ごもってなんだか曖昧な回答をくれました。

「正式なパートナーが複数居るってことだよ。…彼もね、今彼女がいる!」

ふーむ!さすがカナダというかバンクーバー!私が何にも考えずにのほほんと休暇を過ごすつもりで来たのに、ちゃんと爆弾のような刺激を与えてくれますねぇ。

(バンクーバーのあるBC州は2018年にマリファナ合法化、2003年に同性婚合法化など、新しいことを受け入れる懐が広いのです。)

私の好奇心スイッチが完全にONになり、あんまり乗り気じゃなかったその彼との “お茶” という名の顔合わせ?初回デート?が急に面白そうに思えてきました!

「詳しいことは彼に会ったときに聞いてね!私もよく分からないし。笑 でも、彼はゆくゆくは結婚して、子供を持って…、という生き方をしたいから価値観が合うパートナーを探してるんだって!」

ほう (゜゜)

ということで、ポリアモリーについては、これ以上あまり情報がないままその彼に会う日になりました。

初デート?

benches in a park

平日の夕方、彼の仕事帰りにカフェの前で待ち合わせ。

ちょっと早く着いた私はカフェの閉店時間が残り30分ということに気づき、無駄に焦っていましたが、数分後にあらわれたその彼は、慌てることもなく「じゃあテイクアウトにしよう!」といって、二人してお茶をテイクアウトしてお散歩デート(?)がはじまりました。

途中で公園が学校かどこか(忘れたw)の敷地内にベンチがあったので、そこで座ってお喋りすることに。

かしこまらない感じが緊張しいな私にはよかったです!(普通の感想)

当たり障りのない自己紹介的雑談を少し交わした後、出てきましたよあの言葉が!
「〇〇(紹介してくれた友達)からも聞いていると思うけど、僕は今付き合っている人がいるんだ。」
「そうらしいね!ポリアモリーって私は初めて聞いたからどういう感じか分からないのだけど解説お願いします!」
思い切って単刀直入に聞いたら、丁寧に教えてくれました。

彼いわく、

  • 複数の正式な恋愛のパートナーがいる
  • オープンリレーションシップと呼ばれる、誰それ構わず性的な関係になっちゃうのとは違う
  • それぞれのパートナーは他のパートナーのことも知っている
  • 全員が合意の上でポリアモリーは成り立つ

というのがまず中核にあるそうで。

そこに、私が質問をたくさんして、もっと実用的な内容を根掘り葉掘り聞きだしたのがこういった内容でした。

  1. 誰も結婚したり子供作ったりしないの?
    →するカップルもいるよ
  2. ある人のパートナーたちの間で順位やヒエラルキーはあるの?
    →あるカップルもいるよ
  3. ある人のパートナー同士も仲良しなの?
    →直接会わせて仲良くなるパターンもあるし、名前やSNSなどを教えたりして、存在とその人がどんな人なのかという情報だけを共有する場合もあるよ
  4. オープンリレーションシップとはどこで棲み分けをしてるの?
    →新しい人が登場したら、付き合うという関係になる前に、「こんな人と出会ってね、いい感じになるかもしれないんだ。」というような予告情報を既存のパートナーに共有しておくなど、状況に変化が起きるかもしれないということを、前もってちゃんと話しておくことが大事なんだよ。
    だから、間がさしてやっちゃったワンナイトや、真剣交際するつもりがないのに身体の関係だけ楽しみたいセフレが居る、というのは「浮気」なんだよ。

うん!すんごい情報濃い。丁寧な説明に好感!

(あくまでも初デートでの会話内容です。)

2時間くらい話してバイバイした感触としては、前情報として聞いていた「シャイな人だからよろしくね。」という友達の前情報は全く問題にならず、ポリアモリー講座によって、私たちはすっかり打ち解けてちょっと突っ込んだ話もできちゃったのでした。

(他にもお互いの家族問題とか、生い立ちからくる考え方とか…etc. 今回はズレちゃうので割愛します!)

とりあえず、話しやすいし私の質問砲に丁寧に誠実に答えてくれるし、良い時間だったな~!くらいでその旅行は終了!連絡先も交換せずに私は帰国し、何か今後発展する兆しもなく3ヵ月が過ぎました。

ポリアモリストな彼との二回目のデート

a couple by a lake

三ヵ月後、また別の友達の結婚式で再びカナダのバンクーバーに戻ってきた私は、例の友達から
「△△がまた会いたいって言ってるよー!」
という報告を受け、ポリアモリストの彼にまた会うことにしました。

今度はゆったりハイキングのお誘い。平日の仕事終わりにサクッと近くの山の緩やかなトレイル(コース)に行ってハイキングが出来ちゃうなんてやっぱりバンクーバー素敵です。

でも山道を二人で歩くのかー、話し続くかな~ガチ登山だったらどうしよう~と少々そわそわ気味でしたが、ハイキングが久しぶりな私を配慮して、綺麗な湖のまわりの森の中をお散歩する感じでした。優しい!

色んな話をして、やはり温まると話題の中心はポリアモリーになりました。

(彼もどうやらその時の彼女との関係が初ポリアモリーだったそうで、覚えたての知識と経験談を話せる機会があって楽しい、といった感じでした。)

話したそうだったので、私も遠慮なく個人的なことを突っ込んでみました!

彼のポリアモリー事情

前回話してくれた通り、彼には彼女がいて、共通の趣味がきっかけで仲良くなったそう。

彼女と出会い、彼女がポリアモリーだと知って、ポリアモリーの考え方を勉強した彼は、共感することが多く、その生き方に強く惹かれていったそうです。

そして、その彼女には同棲しているパートナーがいて、その人以外にもパートナーがいるとのこと。彼女、ポリアモリーの達人ですね!

彼と会うときは彼女は彼の家に来たり、もちろん外に出掛けたりもするけど、彼が二人の同棲している部屋にはあんまり行かないそう。

それでも彼は、彼女のパートナーにパーティで合ったことがあり、そこで彼女のパートナー同士の顔合わせが行われた感じだったとのことでした。

SNSでも繋がっていて、連絡先もお互いに知っている、そして、性病検査の結果もお互いに共有し合っているとのこと…!

(なななななな!?)

動揺をリアルタイムに表に出すのが苦手な私は、「そうなんだ~!良いことだね~!」なんて知った顔で平静を装っていましたが、内心びっくりしました。

自分が付き合っている人の彼氏の性病検査結果を所有している、という人とデートをしている私、という状況。(゜゜) 斬新です!

ヨーロッパとかだともう普通なのかしら。日本人の私には刺激しかない。

このあたりで、どこの馬の骨とも分からぬやからと自由に寝ちゃうオープンリレーションシップとはコミット度が違う、としっかり理解しました。
(後から知った話ですが、カナダは性病検査無料なんだそう。さすが!)

彼がポリアモリーという生き方を選んだ理由

私がまだよく分からなかったのは、彼には今のところその彼女しかおらず、彼にとってはある意味一対一の恋愛関係にさほど違わないように見えたことです。

だから、エクスクルーシブで排他的な(お互いに1人の相手と付き合う)関係が普通だった私にとっては、彼は彼女と出会って、恋に落ちて、彼女と居る方法としてポリアモリーを受け入れるしかなかったのかな、なんて山道を散策しながら思っていました。

でもその後の彼の話を聞いて、どうやらその解釈は浅はかだった、と気付かされました!

ポリアモリーにおいて一番大事なこと

「ポリアモリーで一番大切なことは、オープンコミュニケーションなんだよ。」

これは、その後も彼が何度も強調した言葉です。

何でも共有すること。それは、相手を思うからこそちゃんと伝える。隠し事はしないし、言いにくいことも言う。そうしないと成立しないから、それがポリアモリーをしていく上での義務なのだそうです。

彼いわく、排他的な関係には特有の窮屈さがあり、その関係を守りたいからこそ荒波を立てないように「言わないようにする」「触れないようにする」という選択をしがちだと、ただ、その「言わない」という選択によって、亀裂や距離が生まれてしまうことも多く、そういった状況になることをポリアモリストは防ぎたいと思っているとのことでした。

ポリアモリーだと、誠意をもって積極的にコミュニケーションを取ることが特に推奨されます。彼はそこに一番感銘を受けたそうです。

それを聞くと、確かに一理あるかも、と思いました。

もし実際に自分に複数のパートナーいて、それぞれみんなと誠実に接するとなると、包み隠さず話し、違和感があればきちんと話し合うことが前提でないと、すぐに気を遣って隠し事だらけになってしまい、誰も幸せじゃない状況に簡単になり得るなぁ、と想像して思いました。

一方で、隠すのもきっと大変だけど、みんなに話すのもきっと大変だろうなぁとも思いましたが。

(一体どんな人数と付き合っている想定なんだっ)

新しい登場人物が現れた場合、その人に関する情報は全パートナーに共有する必要があるし、それぞれ違ったリアクションをするだろうし、それぞれのパートナーとの関係性も少しずつ違うだろうから、どちらにしてもコミュニケーションには相当気を遣う必要があるなぁ、と聞いていて思いました。

でも、もし、そのくらいのエネルギーをかけてでも一緒に居たいと思う人に2人以上出会い、その人たちそれぞれと真剣に交際したいと思ったとしたら、その想いを実現できる形がこの世の中にあるのは、とても素敵なことだと感じました。

それに、ポリアモリーという名前が付くほど普及もしていて、共感者も多いということも、なんだか感動しました。

彼がポリアモリーを選んだもう一つの理由

もう一つ、彼がポリアモリーの関係に惹かれた理由として「一人になるという恐怖心が、惰性的な関係を終わらせることの障害にならない」からだそうです。なんだか直訳っぽくてわかりづらいですね。

つまり、「もう相手と上手くいっていないとわかっているのに、別れたら独りぼっちになってしまうのが嫌だ、という理由だけで別れを切り出せない」状況を作らなくて済む、ということのようです。他にもパートナーがいるから寂しくないよってことみたいですね。

(ここは正直に言うと、色々と突っ込みたくなりましたが!)

きっかけはその彼女さんだったとしても、彼なりに勉強して、生きる道としてポリアモリーを選んだ彼の言葉には腑に落ちるものがありました。

純粋に好き合える人(たち)と一緒に居られる形

それがポリアモリーなのかもしれない、と私は思いました。

そもそも彼といろんな話をするのは心地が良かったこともあり、ここまでくるとポリアモリーとポリアモリストな彼に対する私の警戒心はだいぶなくなっていました。

そして、私自身がポリアモリーになるかどうかは一旦置いておいて、彼と交際を視野に会い続けてもいいかな、と思うようになっていました。

全部、誠意をもって話してくれるというところが一番の安心材料になった気がします。

ということで、彼も波長が合うと思ってくれたのか、その後連絡が毎日来るようになり、結局その一週間に3回くらい会って、最後はお互いなんか意識してしまってぎこちない感じのバイバイと長ーいハグをして別れ、私はまた日本に帰国したのでした。

彼が日本行き飛行機のチケットを買ったのはその1週間後でした。

(PART 2 に続く…)

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